診療・各部門
特色|シミュレーション手術|鏡視下手術|変性疾患に対する手術|日帰り手術|当科の診療担当医
■当クリニックの特色
当施設は日本手外科学会認定基幹研修施設であり、年間約500例の手・肘の手術を行っています。2名の常勤スタッフが在籍し、手・肘の外傷、疾患、スポーツ障害などに対処出来る態勢を整えています。
骨折をはじめとする外傷に対しては、可能な限り解剖学的な修復を目指しての治療を行っています。3次元CTを用いて、骨折や変形の状態を正確に把握し、コンピューター上で手術の計画を立て、これによって正確な手術が可能となります。(シミュレーション手術)
また、高齢者の骨折に対しては、骨粗鬆症の評価も行い、近隣施設と連携し骨粗鬆症の治療も行っています。
神経損傷に対してはマイクロサージャリーの技能を用いて神経縫合、神経移植など機能再建術を行っています。
手・肘などに対する関節鏡視下手術も導入し、小侵襲手術によりリハビリテーション期間の短縮され、早期社会復帰・早期スポーツ復帰が可能です。(関節鏡視下手術)
肘の靭帯損傷、手関節TFCC損傷、舟状骨骨折など手・肘のスポーツ外傷に対して数多くの治療を行っています。また野球肘などの肘のスポーツ障害に対しては関節鏡を用いた小侵襲手術や、重症例に対しては自家骨軟骨移植などの手術も行っています。
母指CM関節症、変形性肘関節症、関節リウマチなどの疾患に対しても関節形成術、関節固定術、人工関節置換術などを行っています。
おもな疾患の手術療法をご紹介します。
■シミュレーション手術
当院では大阪大学整形外科が開発してきたコンピュータープログラムを用いることで、CT撮影から、骨折部の状態や変形の状態を正確に把握でき、コンピューター上で手術の計画を立てることができ、これによって正確な手術が可能となります。
肘粉砕骨折
舟状骨偽関節
上腕骨内顆偽関節
■鏡視下手術
肘関節鏡、手関節鏡を使用して、小さな切開での手術を行っています。また、骨折などの手術でも積極的に使用して、関節面の正確な再建に努めています。
橈骨遠位端関節内骨折
その他当院でよくみる疾患
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
基本的に湿布、ストレッチ、装具などの保存加療の適応となりますが、半年以上疼痛が持続する方を対象に手術加療をおこなっており、良好な成績をおさめております。
■変性疾患に対する手術
母指CM関節症
物をつまむ時やビンのふたを開ける時など母指(親指)に力を必要とする動作で、母指の付け根付近に痛みが出ます。
進行するとこの付近が膨らんできて母指が開きにくくなり、さらに進行すると母指の指先にまで変形が及びます。
まずは薬物療法、装具療法を行いますが、症状が改善されない場合には、手術療法を行います。当センターでは、変形した大菱形骨を摘出したのち、関節周囲の靭帯を再建する関節形成術を主に行っています。変形した関節を固定する関節固定術を行なうこともあります。
変形性肘関節症
肘関節の酷使(スポーツ、重労働)肘関節内骨折などの肘関節外傷、関節炎などが原因となり関節軟骨が摩耗し、また過剰な骨の突起(骨棘)ができます。骨棘は出っ張っているため肘関節の動きが悪くなります。さらに進行すると骨棘が折れてかけらとなり、関節内の遊離体となって引っかかり、急ににある角度で肘が動かない固まった状態で、少しでも動かそうとすると激痛を生じます(ロッキング)。変形性肘関節症が進むと肘内側を走行する尺骨神経が圧迫されて麻痺することがあり、環指の半分と小指の感覚が鈍くなり、手指の動きが不器用になります。
日常生活に支障のある場合には、可動域の改善と疼痛の軽減を目的とした手術療法を行います。尺骨神経麻痺を合併している場合には早急に手術を行います。手術では、骨棘・滑膜の切除と遊離体の摘出術、尺骨神経の皮下前方移動術などを行います。
■日帰り手術
当院では忙しい皆様の要望に応えられるように、局所麻酔使用による日帰り手術をおこなっています。具体的には、ばね指、ドケルバン病、手根管症候群、指の骨折、癒着、粘液嚢腫に対して日帰り手術を実施しています。以下に具体例を挙げます。
手根管症候群
手根管症候群は正中神経が横手根靭帯の部位で狭窄され、手指の痺れは母指球の萎縮を来す疾患です。当院では症例に応じて内視鏡を用いることで低侵襲の手術を行っております。写真のような細い内視鏡を手根管に刺入し、小さな創で手術を行うことが可能で、当院では日帰り手術で行っております。
指の骨折
当院では槌指(手指末節骨骨折、マレットフィンガー)など、日帰り手術が可能なものは入院せずに手術をしています。
粘液嚢腫
当院ではDIP関節(第1関節)に生じた骨棘や周囲の関節包を切除することで、嚢種が自然に消失する方法で手術をしています。局所皮弁や植皮といった自己の組織を犠牲にすることはなく、日帰り手術が可能です。
■当科の診療担当医
- 医学博士
- 日本整形外科学会認定整形外科専門医
- 日本手外科学会認定手外科専門医
- AO Trauma Japan 上級会員
- 日本整形外科学会認定整形外科専門医
- 緩和ケア研修会修了